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東京地方裁判所 昭和58年(特わ)1420号 判決 1983年9月22日

本店所在地

東京都大田区大森南二丁目七番二号

中央ビジネスフォーム株式会社

(右代表者代表取締役荒覺治)

本籍

東京都品川区戸越五丁目一三番地

住居

同都大田区田園調布五丁目五一番八号

会社役員

荒覺治

昭和三年五月一四日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官上田勇夫出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

一  被告人中央ビジネスフォーム株式会社を罰金二八〇〇万円に、被告人荒覺治を懲役一年二月にそれぞれ処する。

二  被告人荒覺治に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人中央ビジネスフォーム株式会社(以下、「被告会社」という。)は東京都大田区大森南二丁目七番二号に本店を置き、電子計算機用の連続伝票の製造販売等を目的とする資本金四〇〇万円(昭和五六年一〇月九日以前は一〇〇万円)の株式会社であり、被告人荒覺治(以下、「被告人」という。)は被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、棚卸の一部を除外し、架空仕入を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五四年四月一日から同五五年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億一三三七万六四二円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同年五月三一日、東京都大田区中央七丁目四番一八号所在の所轄大森税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六一八六万八八九七円でこれに対する法人税額が二三八三万一二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(昭和五八年押第一〇七五号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額八四四三万一一〇〇円と右申告税額との差額六〇五九万九九〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ、

第二  昭和五五年四月一日から同五六年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億九九五万六八六二円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同年六月一日、前記大森税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が九六〇五万七二〇五円でこれに対する法人税額が三六七三万三二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額四二二九万二七〇〇円と右申告税額との差額五五五万九五〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ、

第三  昭和五六年四月一日から同五七年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億八八八二万九八五四円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同年五月三一日、前記大森税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が九一九九万八二六五円でこれに対する法人税額が三六七四万三九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前押号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額七七四一万一五〇〇円と右申告税額との差額四〇六六万七六〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書四通

一  被告人の収税官吏に対する質問てん末書

一  酒井秀計、山中之助の検察官に対する各供述調書

一  酒井廣行、深見立彦(三通)、吉田清秀、石塚子(二通)の収税官吏に対する各質問てん末書

一  登記官横堀義治作成の登記簿謄本

判示各事実ことに過少申告の事実及び別紙(一)ないし(三)修正損益計算書の公表金額につき

一  押収してある法人税確定申告書三袋(昭和五八年押第一〇七五号の1ないし3)

判示各事実ことに別紙(一)ないし(三)修正損益計算書中の各当期増減金額欄記載の内容につき

一  大森税務署長作成の証明書

一  収税官吏作成の売上高調査書二通(以下、調査書はいずれも収税官吏が作成したものである。)

一  たな卸調査書二通

一  仕入高調査書二通

一  減価償却費調査書

一  減価償却費の償却超過額調査書

一  雑費調査書

一  接待交際費調査書

一  交際費損金不算入額調査書

一  受取利息調査書

一  雑収入調査書

一  支払利息割引料調査書

一  支払手数料調査書

一  受取配当金調査書

一  有価証券売却益調査書

一  価格変動準備金戻入益調査書

一  価格変動準備金繰入額調査書

一  事業税認定損調査書

(法令の適用)

一  罰条

(一)  被告会社

判示第一の所為につき、昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一五九条一項、二項、一六四条一項、判示第二、第三の所為につき、右改正後の法人税法一五九条一項、二項、一六四条一項

(二)  被告人

判示第一の所為につき、行為時において右改正前の法人税一五九条一項、裁判時において右改正後の法人税法一五九条一項(刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑による。)、判示第二、第三の所為につき、右改正後の法人税法一五九条一項

二  刑種の選択

被告人につき、いずれも懲役刑選択

三  併合罪の処理

(一)  被告会社

刑法四五条前段、四八条二項

(二)  被告人

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(刑及び犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)

四  刑の執行猶予

被告人につき、刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 羽渕清司)

別紙(一) 修正損益計算書

中央ビジネスフオーム株式会社

自昭和54年4月1日

至昭和55年3月31日

<省略>

<省略>

別紙(二) 修正損益計算書

中央ビジネスフオーム株式会社

自昭和55年4月1日

至昭和56年3月31日

<省略>

<省略>

別紙(三) 修正損益計算書

中央ビジネスフオーム株式会社

自昭和56年4月1日

至昭和57年3月31日

<省略>

<省略>

別紙(四) 税額計算書

<省略>

<省略>

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